引越し退去の掃除、どこまで？敷金トラブルを防ぐコツ

退去時の掃除はどこまで必要？

賃貸物件を退去するとき、どこまで掃除をするべきか迷うことが多いです。

普段の生活でついた汚れのうち、自然な経年劣化は大家が負担しますが、掃除が不十分だと敷金からクリーニング費用が引かれることもあります。

特に水回りや壁、床の汚れは注意が必要です。契約内容を確認し、できる範囲で掃除をしておくと安心です。

事前に掃除をすると得する理由

賃貸物件を退去する前に掃除をしておくと、敷金の返還額が増える可能性があります。

敷金は退去時の原状回復費用に充てられるお金ですが、部屋がきれいな状態であれば、クリーニング費用を差し引かれずに済むことが多いです。

特に、キッチンの油汚れや浴室のカビ、水垢などは、しっかり掃除しておくと追加のクリーニング費用がかからない場合があります。

また、管理会社や大家さんが部屋を確認する際、掃除が行き届いていると良い印象を持たれ、細かい補修費用を請求されるリスクが減ることもあります。

エアコンのフィルターや換気扇、窓のサッシなど、普段はあまり気にしない部分も掃除しておくと、指摘されにくくなります。

さらに、次の入居者がすぐに決まりやすくなり、管理会社にとってもメリットがあるため、余計な請求をされにくくなることもあります。

掃除をしておくことで、部屋を大切に使っていた証明にもなりますし、退去時のトラブルを避けるためにも、引越しの準備と並行して計画的に掃除するのがおすすめです。

掃除をしないと敷金トラブルのリスクが生じることも

退去前に掃除をしないと、敷金から高額なクリーニング費用が差し引かれる可能性があります。

契約の内容によっては、ハウスクリーニング費用が最初から決まっていることもありますが、汚れがひどいと追加料金を請求されるケースもあります。

例えば、換気扇の油汚れがこびりついていたり、浴室のカビが広がっていたりすると、通常のクリーニングでは落としきれず、特別な清掃が必要になり、費用が高くなることがあります。

また、壁や床の汚れがひどいと、クリーニングでは対応できず、補修費用を請求されることもあります。

タバコのヤニ汚れやペットのひっかき傷、水漏れによるシミなどは、原状回復費用として追加で請求されることが多いです。

汚れの度合いが酷い場合、敷金だけでは足りず、退去後にさらに請求されることもあるため注意が必要です。

さらに、管理会社や大家さんとのトラブルに発展する可能性もあります。

部屋の状態が悪いと、修繕費用の負担を求められることがあり、納得できない場合は交渉や相談が必要になるかもしれません。

トラブルがこじれると、消費者センターや簡易裁判所に相談するケースも見受けられます。

敷金に関する問題を防ぐためにも、退去前にしっかり掃除をして、できるだけ部屋をきれいにしておくことが大切です。

原状回復のルールを理解しよう！借主と貸主の負担範囲とは

賃貸物件を退去するときは、部屋を元の状態に戻す「原状回復」が必要です。

ただし、時間が経つことで自然にできる傷や汚れと、借主の不注意によるものは区別され、それぞれの負担が決まっています。

契約内容をしっかり確認しておくことで、思わぬ出費を防げます。

原状回復とは？経年劣化と借主負担の違い

賃貸物件を退去するときは、部屋を元の状態に戻す「原状回復」が必要になります。ただし、全てを新築のように戻すわけではありません。

時間の経過で自然に傷んでしまう「経年劣化」と、借主の使い方によって生じた汚れや傷は区別されており、それぞれの負担範囲が決まっています。

経年劣化とは、普通に生活していれば避けられない変化のことです。

例えば、日光による壁紙の色あせ、家具を置いていたことでできる床の跡、冷蔵庫の裏側にできる電気焼けなどは貸主の負担になります。

一方で、掃除をしなかったためにできたカビや油汚れ、タバコのヤニによる壁の変色、落書きなどは借主の責任となり、修繕費を負担しなければなりません。

退去時に余計な費用を請求されないためには、どこまでが借主の責任なのかを事前に確認しておくことが大切です。

借主はどこまで負担すればよい？

退去するとき、借主が負担しなければならないのは「故意や不注意による汚れや傷」とされています。

つまり、普段の生活で自然に傷んでしまうものではなく、手入れをしなかったために悪化した汚れや、落とした物でできた床のへこみなどが対象になります。

例えば、キッチンの換気扇にこびりついた油汚れや、お風呂のカビ、トイレの水垢は、日ごろの掃除で防げるため、借主の負担になります。

また、壁に大きなネジ穴を開けていたり、飲み物をこぼしてカーペットにシミを作ってしまった場合も、修繕費を請求されることが多いです。

一方で、壁のクロスが日焼けして変色していたり、家具を置いていた跡が床についていたりするのは「経年劣化」とみなされ、借主の負担にはなりません。

修繕費の負担割合は、設備の耐用年数によって変わることがあります。

例えば、壁紙の耐用年数は6年とされており、入居から3年経って退去する場合は、費用の半分を借主、もう半分を貸主が負担することになります。

敷金精算で損をしないために気をつけること

敷金は、退去時の修繕費用などを差し引いたあとに返金されるものですが、必要以上の金額を請求されるケースもあります。

特に、ハウスクリーニング代が一律で請求されることがあるため、契約時にしっかり確認しておくことが大切です。

ハウスクリーニング費用は、契約書に「退去時は借主負担」と明記されている場合は支払う必要があります。明記されていない場合は、部屋を普通に掃除していれば全額請求されることはありません。

また、壁や床の補修費用についても、経年劣化や通常の使用による損耗は貸主負担になるため、納得がいかない請求には根拠を示して交渉することができます。

敷金精算のトラブルを防ぐためには、退去前に掃除をしておくことがポイントです。

特に、キッチンの油汚れや浴室のカビ、トイレの水垢などは、簡単な掃除で落とせることが多く、しっかり掃除しておけばクリーニング費用を減らせる可能性があります。

管理会社との退去立ち会いでは、請求される費用の内容をよく確認し、不明点があればその場で質問するようにしましょう。

契約書の特約を確認！掃除や修繕費のルール

賃貸契約には、原状回復に関する「特約」がついていることがあります。

特約とは、一般的なルールとは別に、貸主と借主が個別に決めた条件のことです。

例えば、「退去時のハウスクリーニング代は借主負担」「エアコンの清掃費用は借主が支払う」など、契約書に記載されている内容によっては、借主が負担する範囲が広がることがあります。

特約がある場合、国のガイドラインよりも優先されるため、契約を結ぶ前にしっかり確認することが大切です。

ただし、すべての特約が有効というわけではありません。特約が有効とされるためには、

1. 特約の必要性があること
2. 借主が特約の内容を理解していること
3. 契約時に明確に説明されていること

上記の3つの条件を満たす必要があります。条件を満たさない場合、特約は無効になることもあります。

契約書を確認せずに退去すると、「こんなにお金がかかるなんて知らなかった」と後悔することもあります。

契約前に気になる点を管理会社に確認し、納得のいく条件で契約を結ぶことが大切です。

退去前にやるべき掃除のポイント

退去時の掃除は、敷金の精算や修繕費用に影響することがあります。

汚れが目立つと追加費用がかかることもあるため、きれいにしておくと安心です。

特に、水回りや床、換気扇などは汚れがたまりやすいので、しっかり掃除しておきましょう。

キッチン・浴室・トイレの水回りはカビ・水垢に注意

水回りは汚れがたまりやすく、放置すると落としにくくなります。

キッチンでは、シンクや蛇口まわりの水垢を落とし、排水口のぬめりやゴミも忘れずに取り除きましょう。

換気扇やコンロの油汚れには、重曹やセスキ炭酸ソーダを使うとスムーズに落とせます。

浴室は湿気がこもりやすいため、カビ対策が大切です。

ゴムパッキンやタイル目地の黒ずみにはカビ取り剤が効果的ですが、使用時は換気をしっかり行いましょう。

鏡についた水垢は、クエン酸を含ませたキッチンペーパーでパックするときれいになります。

トイレでは、便器のフチ裏や床の隅に黒ずみがたまりがちです。

ブラシや雑巾で丁寧に掃除し、尿石がついている場合はクエン酸や酸性洗剤でしばらくなじませてからこすり落としましょう。

掃除後はしっかり乾燥させることで、清潔な状態を保ちやすくなります。

壁・床・窓の汚れを落とすコツ

壁や床は普段気づきにくいですが、生活の汚れが意外と残っています。

壁は、乾いた布でホコリを落としてから、薄めた中性洗剤を含ませた雑巾で優しく拭きましょう。手垢やタバコのヤニが目立つ場合は、メラミンスポンジを使うと効果的です。

床は、まず掃除機をかけた後、水拭きで仕上げるとすっきりします。フローリングの小さな傷は、市販の補修剤で目立たなくできます。

畳の場合は、掃除機をかけた後、乾いた布で軽く拭くときれいになります。

窓ガラスは、ガラスクリーナーや新聞紙を使うとピカピカに仕上がります。

サッシの隙間にたまったホコリや泥は、歯ブラシや割り箸に布を巻いたものでかき出すとスムーズに掃除できます。

見落としがちなエアコン・換気扇の掃除も忘れずに

エアコンや換気扇は見落としやすいですが、ホコリや油汚れがたまりやすい場所です。掃除をしておくと、退去時の印象も良くなります。

エアコンは、フィルターを外して掃除機でホコリを吸い取った後、水洗いしてしっかり乾燥させます。本体の吹き出し口や外側も、固く絞った雑巾で軽く拭いておきましょう。

換気扇のフィルターは、重曹や中性洗剤を溶かしたぬるま湯にしばらく浸けてから、スポンジでこすると汚れが落ちやすくなります。

ファンの汚れがひどい場合は、洗剤をつけて優しくこすり、最後に乾いた布で拭き取るとすっきりします。

大家さんや管理会社と掃除範囲を事前に確認する方法

退去前に掃除の範囲を確認しておくと、敷金精算時のトラブルを防げます。

まず、賃貸契約書の「原状回復」に関する部分をチェックし、借主が負担すべき範囲を把握しましょう。

特に、ハウスクリーニング費用や修繕費用については、事前に確認しておくと安心です。

不明点がある場合は、管理会社や大家さんに問い合わせるのがおすすめです。「壁の汚れはどの程度落とせばいいか」「エアコンの掃除は必要か」など、具体的な基準を聞いておくと安心できます。

また、退去前に部屋の状態を写真に残しておくと、後でトラブルになった際の証拠になります。

入居時の状態と比較できる写真があると、余計な修繕費を請求されるリスクを減らせます。

退去時のトラブルを防ぐ！掃除以外で気をつけたいポイント

退去時は、掃除だけでなく契約内容や部屋の状態をしっかり確認しておくことが大切です。

クリーニング費用の負担範囲や、退去後のトラブルを防ぐための記録の残し方を知っておくと安心です。

事前に準備をして、スムーズに退去できるようにしましょう。

クリーニング費用の負担範囲を確認しよう

退去時のクリーニング費用は、契約内容によって負担範囲が異なります。

国のガイドラインでは、経年劣化や通常の使用による汚れは大家の負担ですが、契約で「クリーニング費用は入居者負担」と決められていることが多いです。

まずは契約書を確認し、負担額が明記されているかチェックしましょう。

一般的なワンルームのクリーニング費用は2万円前後ですが、広さや物件によって変わります。金額の上限が書かれていない場合、高額な請求をされることもあるため注意が必要です。

また、タバコのヤニ汚れや水回りのカビなど、故意や過失による汚れは追加費用がかかることもあります。

トラブルを防ぐために、契約内容をしっかり確認し、不明な点は事前に管理会社に問い合わせておくと安心です。

退去前には写真を撮って証拠を残しておく

退去後のトラブルを防ぐために、部屋の状態を写真や動画で記録しておきましょう。特に、壁や床の傷、汚れ、水回りのカビなどはしっかり撮影するのがおすすめです。

スマートフォンのカメラを使い、部屋の入口から順番に撮影すると、後で確認しやすくなります。動画も撮っておくと、より詳細な記録になります。

入居時からあった傷や汚れも、証拠があれば、修繕費を請求されるリスクを減らせます。

退去時に管理会社と意見が食い違った場合は、写真や動画を提示して、冷静に対応しましょう。

ハウスクリーニング会社の選び方を押さえておこう

クリーニング業者を自分で選べる場合、費用や作業内容をしっかり比較することが大切です。

契約で「管理会社指定」となっていることもあるので、まずは契約書を確認しましょう。

ハウスクリーニングの相場は、ワンルームで2万円前後、2LDKで4～6万円程度です。

業者によって掃除範囲が異なるため、必要な作業が含まれているかを確認するのがポイントです。

口コミや評判をチェックし、見積もりを複数の業者に依頼すると、適正な価格かどうか判断しやすくなります。

まとめ

退去するときは、掃除や原状回復のルールを知っておくと安心です。

水回りの汚れや壁・床の傷は、敷金の精算に影響することがあるため、できる範囲で掃除をしておくとよいでしょう。

契約書を確認し、クリーニング費用の負担や特約の内容を事前にチェックするのも大切です。

管理会社と相談しながら準備を進めると、スムーズに退去しやすくなります。また、写真を撮っておけば、後からのトラブルを防ぐのにも役立ちます。

計画的に掃除を進めて、安心して新生活を迎えましょう。