剪定と伐採の違い|庭木を残すか処分するかポイントを解説
庭木のお手入れでよく聞く「剪定」と「伐採」は、どちらも木を切る作業ですが、意味や目的は全く異なります。
剪定は枝を整えて木を健やかに育てるためのお手入れで、伐採は根元から切り倒して木を取り除く作業です。
見た目を整えて四季の移ろいを楽しみたいのか、安全性や土地の活用を優先したいのかによって選び方は変わります。
本記事では、剪定と伐採の違いや選び方のポイントを分かりやすく紹介します。

剪定と伐採の違いとは?
剪定と伐採はどちらも木を切る作業ですが、意味や役割は全く違います。
枝を整えて木を生かす方法と、根元から切り倒して取り除く方法、それぞれの特徴を見ていきましょう。
剪定=枝葉を整えるお手入れ
剪定は、庭木や街路樹の枝や葉を切り落として、形やバランスを整えるためのお手入れです。
枝が混み合うと風通しや日当たりが悪くなり、木の内側に病害虫が発生しやすくなります。
余分な枝を取り除くことで光や空気が届きやすくなり、木全体が健康に育ちやすくなります。
また、栄養が枝葉に行き渡るようになり、花や実のつきが良くなる効果も期待出来ます。
見た目の美しさを保つ意味もあり、庭木を長く楽しむためには欠かせません。
常緑樹は春先、落葉樹は秋から冬に行うのが一般的で、樹木ごとの性質に合わせて時期を選ぶことが望ましいでしょう。
伐採=木を根元から切り倒す作業
伐採は、立ち木を根元から切り倒して取り除く作業を指します。
林業では木材を収穫するために行われ、主伐・間伐・除伐・皆伐・択伐など目的ごとに呼び方が変わります。
住宅の庭や街路樹では、建物や電線に接触して危険を及ぼす木や、老朽化して倒れる恐れのある木を処分するために行うことが多いです。
伐採にはチェーンソーや鋸が使われ、大木や狭い場所では専門的な技術が欠かせません。
切り株を残す場合や、抜根作業を追加して完全に撤去する場合もあります。
剪定が木を生かしながら整えるのに対し、伐採は木そのものを取り除くことを目的としています。
ゴールが違う!「残す剪定」と「無くす伐採」
剪定と伐採はどちらも「木を切る」作業ですが、目指す方向が大きく異なります。
各々の違いを整理すると次のようになります。
• 剪定のゴール
o 木を健康に育てる
o 花や実のつきを良くする
o 樹形を整えて景観を美しくする
o 木が生き続け、四季の変化を楽しめる
• 伐採のゴール
o 倒木リスクや周囲への危険を無くす
o 老朽化した木や不要な木を完全に取り除く
o 土地を駐車場や建物など別の用途に活用する
o 新しい植栽や庭づくりのためにスペースを確保する
剪定は「残して育てるためのお手入れ」、伐採は「無くして環境を変えるための処分」と整理すると分かりやすいでしょう。
剪定か伐採か迷ったらここを見よう
庭木をどう扱うかは、木の状態だけでなく暮らし方や将来の計画にも関わります。
木を残して育てるか、あるいは取り除くか、状況に合わせて選び方を考えてみましょう。
木を残すなら剪定一択
木を残したいと考えるなら、基本的には剪定を選ぶことになります。
剪定は伸びすぎた枝や不要な枝を切って形を整え、木の健康を守るために行います。
「今より小さくしたい」というときには強剪定という方法で、木全体のサイズを抑えることも出来ます。
ただし、強剪定は木にとって負担が大きく、行う季節や樹種によって適否が変わります。
経験豊富な業者に相談することで、木を残しつつ安心して管理すると良いでしょう。
危ない木・不要な木は伐採
倒れる恐れのある木や不要になった木は、伐採が適しています。
枯れてしまった木や、建物や電線に枝がかかっている木は放置すると事故の原因になりかねません。
庭や敷地を広く使いたい場合や、新しい植栽や建築のために土地を確保したい場合にも伐採が行われます。
伐採は木を根元から切り倒すため、チェーンソーや重機を使うこともあり、安全に進めるには専門的な技術が欠かせません。
自分で無理に行うより、専門業者に任せた方が安心です。
庭や土地の将来の計画で決める
剪定と伐採のどちらを選ぶかは、庭や土地を今後どう活用したいかによっても変わってきます。
木を残して季節ごとの変化を楽しみたいなら剪定が向いていますし、駐車場を作ったり家を建て替えたりするなら伐採が必要になることもあります。
木を小さく整えるだけでは対応できない場合もあるため、将来の暮らしや家族のライフスタイルを考えながら判断すると安心です。
剪定と伐採にベストなタイミング
木を整える時期や切り倒す時期は、木の種類や成長のサイクルによって向き不向きがあります。
季節ごとの特徴を知ることで、より良い管理がしやすくなります。
剪定は落葉樹と常緑樹で時期が違う
庭木の剪定は、種類によって向いている季節が異なります。
落葉樹は冬の休眠期にあたる12月から2月頃に行うのが一般的で、余分な枝を整理すると春に元気な新芽が出やすくなります。
常緑樹は春や秋の気候が安定している時期に軽く枝を切り整える方法が多く、負担を少なくしながら形を整えられます。
剪定に適した時期を選ばないと枝枯れや木の弱りにつながるため、それぞれの特徴に合わせて考えることが大切です。
強剪定と軽剪定、使い分けのコツ
剪定には大きく分けて「強剪定」と「軽剪定」があります。
強剪定は不要な枝を思い切って切り落とし、木を小さく仕立て直す方法で、冬の休眠期に行うのが基本です。
一方、軽剪定は夏に伸びすぎた枝や葉を整える作業で、風通しを良くして病気や害虫を防ぐ役割があります。
軽剪定をすると台風などで枝折れを防ぐ効果もあります。
ただし、強剪定は木にとって負担が大きいため、種類や状態を見極めて行うことが欠かせません。
伐採は冬の季節がおすすめ
伐採に適しているのは冬の季節です。
冬は木が休眠していて水分が少なく、切った木材が乾きやすく品質も安定します。
落葉樹は葉が落ちて幹が見えやすくなり、作業がしやすくなります。
常緑樹や針葉樹も冬であれば乾燥状態で伐採できるため扱いやすさが増します。また、虫が少ないので作業中のリスクも抑えられます。
春から夏は樹液が多く出てしまい、木材の品質が落ちやすいため、一般的には冬の伐採が向いているとされています。
剪定と伐採の費用の目安
剪定や伐採の費用は木の種類や状態だけでなく、高さや太さ、作業に必要な人員や道具によっても変わります。
事前にどのくらいの金額がかかるかを知っておくと安心です。
剪定費用は木の大きさや本数で決まる
剪定は木の高さや本数によって金額が変わります。枝葉の処分量が多い木や、本数が多い庭では費用が高めになります。
木の大きさ | おおよその目安費用 | 特徴 |
---|---|---|
低木(~3m) | 3,000~7,000円/本 | 作業しやすく費用は安め |
中木(3~5m) | 8,000~15,000円/本 | 脚立や高枝切りが必要 |
高木(5m以上) | 20,000円~/本 | 高所作業で人員・時間が増える |
伐採費用は高さ・太さ・難易度で変わる
伐採は高さや太さに加え、周囲の環境によっても金額が変わります。
電線や建物に近い木は、安全確保のため費用が高くなります。
木の大きさ | おおよその目安費用 | 特徴 |
---|---|---|
低木(~3m) | 4,000~7,000円/本 | 比較的簡単に依頼可能 |
中木(3~4m) | 10,000~13,000円/本 | 大きさによって費用が増える |
中高木(4~5m) | 20,000~23,000円/本 | 運搬・処分の手間が増える |
高木(5~7m) | 30,000~33,000円/本 | 高所作業車やクレーンが必要な場合あり |
大木(7m以上) | 要見積もり | 特殊技能や重機を伴い費用が大きく変動 |
伐採は剪定より高いって本当?
伐採は、剪定よりも高くなることが一般的です。
剪定は枝や葉を整える作業が中心ですが、伐採は木を根元から切り倒す大掛かりな作業になるため、重機を使ったり人員を増やしたりする必要があるためです。
また、伐採後には大量の枝葉や幹の処分が必要で、処分費が剪定より高くなる場合もあります。
同じ高さの木でも葉が密集している種類や幹が太い木は運搬費用がかさみ、結果として全体の金額が高めになります。

プロに頼んだほうが安心なケース
剪定や伐採は自分で取り組めそうだと思えても、木の大きさや周囲の環境によっては危険が伴います。
安全面や仕上がりを考慮すると、専門の技術を持つ業者に任せたほうが安心できるケースも多いです。
はしごやチェーンソーを使う高所作業
高さが3メートルを超える木は、脚立やはしごを使わないと届きません。
高い場所での作業は足元が不安定になりやすく、慣れていない人だと転落や道具の落下といった事故の危険があります。
特にチェーンソーを扱うときは体勢が不安定になりやすく、思った以上にバランスを取るのが難しいものです。
専門のスタッフが安全ベルトやロープをきちんと使い、効率良く作業を進めるため、ご自身で取り組むよりも安心感があります。
枝や幹が建物や電線に接している
屋根や外壁に近い枝、または電線に触れそうな幹は、作業の際に危険を伴います。
枝を落とすと屋根瓦や窓を傷つけてしまうこともあり、電線に触れれば感電の危険まであります。
専門業者はロープや専用器具を使って、枝を少しずつ安全に下ろす方法を熟知しているため、建物や周囲に影響を与えずに作業を進められます。
倒す方向の調整が難しい大木の伐採
幹が太くて高さのある木を伐採する場合、どの方向に倒すかを正しく判断するのは非常に難しい作業です。
大木は重さがあるため、一度倒れ始めると人の力で止めることは出来ません。
風向きや地面の傾き、枝の広がり方など、さまざまな要素が倒れる方向に影響します。
専門業者は幹に切り込みを入れる位置を工夫したり、ロープで方向をコントロールしたりして、安全に伐採を進められます。
まとめ
剪定と伐採は同じ「木を切る」作業でも、役割や目的は大きく異なります。
枝を整えて木を元気に保つ剪定は、景観を整えたり花や実を楽しんだりするために行われます。
一方で、伐採は、安全性の確保や土地の有効活用を目的に、根元から木を切り倒す作業です。
剪定と伐採は、費用や作業時期も異なり、状況によっては専門業者の力が欠かせません。
木の状態や暮らし方に合わせた方法を選ぶことが、心地良い空間づくりにつながるでしょう。